このたび、わたくし一身上の都合により、会社を辞めることになりました。
お忙しい中を、今晩、わたしのために、このような心のこもった送別の会を開いてくださいまして、ほんとうにありがとうございます。
本社勤務わ命じられ、皆さんとお会いしたのは、5年前の春でした。
初めて、部屋に入り、自分に用意された机に座ったとき、わたしは「本社だから、OA用の最新机かと思ったら、旧JISサイズの昔の机だな。」とちょっと、びっくりしたのを覚えております。
でも、その古い机に座り、皆さんとどれだけ熱く仕事の話をしたことでしょう。
また、どれだけ皆さんに助けていただいたことでしょう。
あれは、まだわたしがこちらへきて、3ヶ月目くらいのことでしたがひとりで残業していたとき、途中で、資料を見失ってしまい、すっかりあせってしまったことがありました。
そのとき、七時半ごろでしたか、忘れ物をとりにきたといって山形さんが入ってきました。そして「なにもひとりで悩むことはないです。苦労するならお互い様です。」といって、10時過ぎまで手伝ってくださいました。
途中で、山形さんがいなくなったと思ったら、当直室から熱いコーヒーを入れて持ってきてくれました。わたくしは、思わずジーンとして下を向いたことを思い出します。
本来ならば、いまこの席にいらっしゃる皆さんの思い出話をひとりひとり申し上げ、お礼を申し上げなくてはならないところですが、とても時間がありません。ただただお礼を申し上げます。
この5年間を思いおこしますと、わたしは皆さんから、本当に率直に申し上げまして、かわいがっていただいたという気持ちが、ひしひしと胸に、こみ上げてまいります。それに対して、わたしは、皆さんのご期待に添えるようなことが、どれだけできただろうかと、昨晩はしみじみと考えてしまいました。
ほんとうに5年間、ありがとうございました。退社してこれから故郷に帰りますが、ときどきは上京してまいります。
そして、ぜひ皆さんの、お元気なお顔を拝見しお話を伺いたいと思います。
今晩は、まことにありがとうございました。